古民家DIYの注意点 3選

古民家をリノベーションして住みたい!と考えた場合、なるべく費用を抑える方法は、DIYやセルフリノベーションです。最近ではYouTube等で古民家のDIYに挑戦する動画もよく見かけます。

DIYは費用を節約できる手段であり、自分自身で理想の住まいを作ることができて魅力いっぱいな反面、体験したことがない方にとってはハードルが高いです。手間やケガの恐れなどもあり、最悪な場合、家が危険な状態になってしまうこともあります。

ここでは、古民家のDIYの良いところ・注意すべき点などについてプロ目線で詳しく解説します。


▷古民家DIYを始める際のポイント・注意点


      


セルフリノベーションはとにかく計画性が大切。見通しの立たないまま工事に着手すると、途中で予算が足りなくなったり、気候が不安定な時期と工事が重なってしまったり、思うように進まなくなります。期間や予算など、全ての工程に関して綿密に計画を練ってから作業するのがポイントです。


①作業計画のリスト化=予算計画


作業をリストアップすることが大切です。作業内容を洗い出すことにより、必要な資材と工具なども可視化できるようになります。

そうすることで事前に費用の目安が分かるので、不足した予算分を補うための対策もたてられます。


②業者に任せるべき工事を把握 


業者や専門の設備施工業者に依頼する必要がある箇所を知っておく必要があります。

古民家のセルフリノベーションをスタートする前に業者に相談し、セルフリノベーションする部分とそうでない部分を分けるのがおすすめです。これにより、より見通しのきいた予算設計ができます。


③耐震のチェック


古民家は築年数が古いので、耐震性が気になるところです。

古民家は現行の建築基準法とは違う建て方で作られているので、建物そのものは丈夫であったとしても、築年数が古いため内部の家を支える重要な箇所が腐っている可能性があります。

 対策としては『耐震診断』です。

古民家の耐震性を確認するため、リノベーションを開始する前に耐震診断受けましょう。 


④壁や柱を壊すと家が倒壊する恐れがある


リノベーションするからには、家のなかの壁や柱を抜いて、開放的な空間を作りたいと考えられる方が多いと思います。

誤って撤去すべきではない壁や柱を壊してしまえば、最悪家が倒壊してしまう危険性があります。

壊しても良い壁や柱を見抜くことは難しいです。

これらの部分のセルフリノベーションはおすすめできませんので、業者に任せましょう。



▷古民家DIYのメリット/デメリット




【メリット】


①コストを抑えられる

リフォームする時、最も費用がかかるのは人件費といわれています。自分で計画を立て、材料と必要な工具を用意し、作業するDIYは人件費がかからないため費用を抑えられるのは大きなメリット。浮いた人件費分を材料費に回して、グレードの高い仕上がりにすることも可能です。


②愛着が生まれる


ご自身で手掛けた家は、プロに依頼するよりも愛着が持てます。自分もしくは家族と一緒にDIYしながら作り上げたことは、年数が経ったときも良い思い出になるに違いありません。愛着が沸くことで自然にメンテナンスの目を配れるようになり、結果的に住まいの寿命が伸びる効果も期待できます。


③自分好みにできる・作業も楽しめる


もともとDIYが好きな方にとっては、DIYでお家を本格的に作り変える作業はとても楽しい時間になるでしょう。その中で使用する材料を自由に選択でき、自分好みの家にできるのも、DIYの良い点です。

自分のアイデアが形になり、ご自身のイメージしている部屋ができあがっていくことは、何事にも代えがたいおもしろさがあります。


④好きなペースで作業できる


工務店などの施工会社で古民家をリフォームする場合、費用と効率の問題から空き家状態にしてから、一気に工事することが多いです。しかし、自分で工事を進めるDIYの場合は、自分の好きなペースでできます。時間に余裕があれば、数か月かけて一つずつ仕上げていくことが可能です。


【デメリット】


① 危険がともなう場合がある


自分で施工した場所に不具合があると、使っているうちに破損して危険な目にあうリスクがあります。ちょっとしたクギの飛び出しや引っ掛かりなども、手足に当たればケガの可能性があります。

また、丸ノコなどの回転計工具を使用した結果、取り扱いを間違えると大ケガする恐れもあるでしょう。DIYの内容によってはこうした危険がともなうため、十分に注意して作業するようにしましょう。

また、屋根などDIYは高所作業となるため、素人が行うのは大変危険です。


②期間がかかる


毎日のように作業している業者と比べると一般の方の当然作業スピードは落ちるため、全体の工期は当然長くかかります。住みながらゆっくり仕上げていくのなら問題ありませんが、改修しないとまともに生活できなかったり、期日が決まっている場合はスケジュール的に厳しくなることが多いです。また、経験がないと作業自体にどれくらいの時間がかかるのか予想するのは難しいため、そもそもの予定を組むことが困難です。DIYにあまり時間をかけられない場合は、施工会社へ依頼した方が良いと言えるでしょう。


③道具を一式揃えると費用がかかる


      


もともと大工作業が趣味であれば自宅に道具が揃っていますが、初心者の方は一から全て購入しなくてはなりません。DIYに関する道具の購入には、ある程度の費用がかかってしまいます。古民家をDIYした後も使用するのであれば購入してもよいですが、1度のDIYのためにこれらの道具(※)を揃えるのは非常にもったいないと感じます。

※【必須工具】ドライバー・レンチ・ペンチ・ニッパー・メジャー・のこぎり・ハンマー・カッターナイフ

【あると便利な工具】ドリルドライバー・インパクトドライバー・サンダー・レベル・クランプ・バイス・糸鋸・グルーガン・スプレーガン・エアー工具(コンプレッサー)

【その他】作業用手袋・ゴーグル・マスク・耳栓


また、業者はプロ仕様の道具を一式取り揃えているからこそ、綺麗な仕上がりになります。一般の方も一通り揃えば、クオリティアップを期待できますが、道具を一式揃えた場合、当然DIYにかかるコストは高くなってしまいます。


④耐久性/仕上がりの質が低い可能性がある


DIYとプロの作業で最も違いが出やすいのはやはり仕上がり・耐久性です。DIYに挑戦する方のブログや動画などで作業方法を調べることができますが、言葉では伝わらないコツが重要なことが多いです。

仕入れる材料の品質が違う点も影響があります。最近は石膏ボードや木材、壁紙・フローリングなどがホームセンターで簡単に購入できますが、こうした量販店で扱っている建材は安い分、プロが専門の材料店で仕入れる物より品質が劣っている場合がほとんどです。見た目には違いがわかりませんが、長期間使った時の耐久性に違いが出てきます。

つまり、プロの使う業務用の材料や作業の技術面を比較すると、違いが出てくる可能性があることを心得ておく必要があります。ただし、仕上げの粗さをあえてデザインに活かしたり、うまく隠したりといった工夫は可能です。


▷DIYしやすい箇所/プロに依頼すべき箇所


【DIYしやすい箇所】



①解体~廃材処分


床板や畳をはがす解体、不要な建具を搬出する作業は、DIYすることが可能です。しかし、大きな建材を運搬するなど、体力が必要になりケガの危険性も伴います。作業する際には、皮のグローブやヘルメットの装着、安全靴を履くなど事故を防ぐよう心がける必要があります。

トラックなどを手配すれば、分別した廃材を処分業者に持ち込むことも可能です。


② 漆喰/珪藻土塗り



簡単な道具だけで挑戦できる漆喰や珪藻土塗りは、DIYの中でも人気の作業です。職人のように仕上げるのは難しいですが、凹凸デザインであれば、ちょっとしたコツとセンスで十分挑戦できるのが人気の理由。初心者でも比較的簡単にできる作業であり、和室との相性も良いので、古民家DIYではよく採用されています。


③ 内装仕上げ(襖/壁紙/フローリング等)



襖や障子紙張り替え、畳からフローリングへの変更などの、失敗しても何度でもやり直せる内装仕上げは、DIYに向いている作業です。ホームセンターなどにも、内装壁紙などのDIY向けの商品が豊富にあり、プロのクオリティには及ばずともぱっと見分からないレベルには仕上がります。作業中にケガの心配がないことも挑戦しやすい理由の一つ。DIYするためのペンキや壁紙は種類豊富に揃っています。


【プロに依頼すべき箇所】


① 電気関連


一般家庭のスイッチやコンセントといった電気関係は、電気工事士の資格がないと交換や施工はできません。無資格で電気関係のDIY作業を行うと、懲役や罰金などのペナルティがあります。また、電気関係は施工ミスによるショートなどが発生すると、壁裏や屋根裏など見えない場所からの火災につながる恐れがあり、大きなリスクだらけです。


② 水道関連


水道管や排水管といった水回り関係の工事も、資格や水道局の認定を受けていないと実施できません。給排水に関する部分は特に水漏れなどの施工ミスが発生しやすく、土台や柱の腐食など重大なダメージにつながります。

蛇口の交換など簡単な物は黙認されている現状ですが、厳密なルールでは違反となります。


③外装関連


外壁・屋根などの外装関係は、雨風を受けて建物の耐久性に大きく関わるため、プロに任せるのが安心です。流れる雨の道筋を計算して導くような施工方法は、素人ではできません。雨漏りの原因になり、屋根などの高所作業では常に落下の危険性があります。施工不良の屋根材が台風などで飛んでしまった場合、よそのお宅や人を傷つけてしまうことも。外装材の交換や塗装はプDIYでするべきでないといえます。

 

④防犯関係


鍵交換、サッシや玄関ドアなど、建物の防犯性能に関する部分も、確実な施工をすべき点です。ガラスやアルミサッシは扱いが難しく破損しやすいため、一般の方が挑戦するにはハードルも高いです。材料だけ購入するのも難しいため、プロに依頼しましょう。


⑤その他 ガス関連、危険が伴う高所での工事


重大事故につながる恐れもあるため、絶対に挑戦してはいけません。



▷社寺建築岡田工務店㈱では…


古民家をセルフリノベーションする場合であっても、電気や水道など一般の方ではできない作業も多いため、プロの作業がどうしても欠かせません。DIYでやってみてできない部分はプロに任せることも可能ではありますが、効率が悪いため余計な費用が掛かる可能性が高いです。


まず初めは業者にお任せいただき、その後のメンテナンスやできる範囲でのDIYを楽しんだりすることがおすすめです。


また、現代の住宅も多くが木造ですが、建てる仕組みは古民家と大きく異なるため、一般的な新築やリフォームを専門とする会社では古民家の扱いが難しい場合があります。

古民家リノベーションは思いもよらない事態が度々起きます。根腐れを起こした柱を修繕するケースでは、技術と経験値のある大工であれば新しい柱を古い柱に合わせて加工し根継ぎしますが、それが出来ない場合は、古材を廃材にして新しい柱に替える他ありません。

社寺・仏閣を多く扱った実績のある当社であれば、その都度適切な対応ができます。


「自分でやってみたい」というご希望につきましては、考慮したプラン作成が可能です。施主様ご自身でDIY可能な範囲や、私たちが施工すべき部分、電動工具・エアー工具等の用意するには金額の高い道具の貸出しなども正直にお伝えしますので、お気軽にご相談ください。