築50年の家(古民家)のリフォームの予算は?

中古住宅や古民家を取得し、生活していくことにあたって気になるのはリフォームするべき範囲、そしてその費用のことです。

「リフォームっていくらかかるんだろう」「したいけど予算が足りるか分からない」など、リフォームをする際は「お金」のことが気になるのは当然です。


また、建て替えるべきなのか、リフォームの方が良いのかと悩まれることもあるかと思います。リフォームの内容にもよりますが、一般的に全面リフォームを行っても、リフォームは建て替えよりも安くなることが多いです。これは地盤の工事をしないこと、全面リフォームでも基礎や構造材など残せるものが多いなどの理由によるものです。全面リフォームでも3~4割は建て替えより安くなることが多く、残す部分が多くなるほど費用はさらに安くなります。築年数の経った一戸建てであっても、フルリフォームを行えば住み心地が大きく向上し、新築に近い快適な暮らしを実現できるでしょう。


国土交通省の調査によると、躯体以外の部分を全面リフォームする場合の費用相場は

800~2,000万円です。

リフォームは工事範囲や内容を調整できるため、金額の幅が大きくなっています。また、建物の状態によっても大きく変わってきます。すでに人が住んでいて状態の良い物件であれば、500万円~700万円でリフォームできる可能性もあるでしょう。その一方で、空き家になっている多くの物件では、総額が1500万円以上となります。


予算には限りがあるため、優先すべき工事に絞ってリフォームをしたい方もいるのではないでしょうか。築50年の住宅をリフォームする際、どのくらいの予算でどのくらいの工事ができるかを色んな視点からまとめました。


◆坪数/築年数 での概ねの予算


一戸建てのフルリフォームにかかる費用相場は、おおよそ500万~2,000万円です。フルリフォームといっても、躯体から行うのか、外装や内装などの表層部分を改修するのかなど、作業内容が異なるため相場に大きな幅が生まれます。

一戸建てのフルリフォーム相場をより詳しく知るために重要なのは、具体的な「坪数」と「築年数」です。


【坪数ごとのフルリフォーム費用を比較】


一戸建てのフルリフォームの費用相場は、坪単価で見ると40~80万円ほどです。もちろん、施工内容や素材、設備などにこだわるとこれを超えますので、一般的なボリュームゾーンとお考え下さい。

10坪・25坪・30坪のそれぞれでかかるフルリフォーム費用の目安は、以下のようになります。

坪数 一般的なフルリフォーム費用相場

10坪 400万~800万円

25坪 1,000万~2,000万円

30坪 1,200万~2,400万円

日本の一戸建て住宅の平均は25~30坪ほどなので、10坪というケースは比較的少ないでしょう。そのため、一戸建て住宅をフルリフォームする場合、最低でも1,000万円は見ておく必要があるといえます。

※フルリフォームとは、全面的(大規模)な改修工事のことを指します。

※躯体(躯体)とは、建築物全体を構造的に支える骨組み部分のこと。


【フルリフォーム費用は築年数によっても変動する】


一戸建てのフルリフォーム費用は、住宅の築年数によっても変わってきます。

建てられてから10年以内の築浅一戸建ての場合は、断熱構造や耐震設備もしっかりしており、それほど大規模な工事は必要ありません。そのため、フルリフォーム費用も安く済ませられるでしょう。

一方、完成から30年以上が経過している築古一戸建ての場合は、各部に老朽化が目立つことが多いです。そのため、躯体からのフルリフォームが必要となり、費用が高額になってきます。1981年以前に建てられた一戸建ての場合は、建築基準法の改正前であることから、耐震性が低い可能性が高く、大規模なフルリフォームが必要なケースが多いです。


【一戸建てフルリフォームするなら1000万円は必要】


以上の事実を踏まえると、500万円という予算で一戸建てをフルリフォームするのは、あまり現実的とはいえません。

10坪ほどと坪面積の小さい築浅の一戸建てであれば、500万円でもフルリフォーム可能です。しかし、家族で暮らす前提の一般的な一戸建ての場合は、500万円だと部分的なリフォームとなります。

そのため、一戸建てのフルリフォームを検討するのであれば、予算は最低でも1,000万円は見ておくのが安心といえます。


◆築50年の家のリフォームを優先すべき箇所◆


・耐震リフォーム

耐震性: 古民家は耐震性が低い場合が多く、地震による倒壊の危険性があります。

・外壁や屋根、サッシの補修・張り替え

雨漏りや外壁のひび割れは、建物全体を傷めてしまう原因となります。

・断熱リフォーム

古民家は断熱性が低いため、夏は暑く冬は寒いということが考えられます。

・水廻りリフォーム

キッチンやお風呂、トイレなどの水回りは、生活に直結するため、老朽化している場合は早めに交換することをおすすめします。

・床

床の腐朽や傾き、隙間などがある場合は、生活に支障をきたす可能性があります。

・構造体

構造材である柱や梁の腐朽は、建物の強度を低下させるため、注意が必要です。

・電気配線

古い電気配線は、漏電リスクが上がり、火災の原因となる可能性があります。


◆主な工事場所と費用の相場◆


基礎 耐震補強 150万円~

屋根 葺き替え 100~300万円

外壁 塗装工事 50万円~

天井・壁 断熱改修 500万円~

窓 複層ガラス交換 10万円~/箇所

キッチン システムキッチンへ交換 40~150万円

トイレ 便器交換 15~80万円

洗面所 洗面化粧台へ交換 20~50万円

浴室 ユニットバスへ交換 80~150万円

居室 間取り変更 10~100万円/箇所

玄関・廊下・土間 バリアフリー化 10~300万円/箇所


【水廻り】

トイレやキッチンなど、水廻り一式をリフォームする場合、費用相場は200~300万円ほどです。水廻りは配管工事を伴うことがあり、現場での工事費を考慮すると、トイレだけやキッチンだけなどと部分的にリフォームするより、一式をまとめてリフォームした方が、総額は安くなります。


浴室 50〜150万円

トイレ 15〜50万円

キッチン 50〜150万円

洗面所 10〜50万円


【内装】

壁紙やフローリングなど、内装のリフォームを行う場合の費用相場は、100~200万円がボリュームゾーンとなります。

まず壁紙の張り替えは、一般的に1㎡あたり750~1,500円ほどが相場です。また、フローリングの張り替えは1帖あたり2~7万円ほどかかってきます。

坪面積の大きい一戸建てになれば、それだけ施工面積も大きくなり、内装のリフォーム費用も高くなります。


【耐震】

一戸建てのリフォームにおいて、耐震リフォームは100~200万円が相場となります。

耐震リフォームの場合、実際の費用は築年数によって変わってきます。1981年以前に建てられた一戸建ての場合は、十分な耐震性確保のために、費用がより高額になるケースもあります。


【断熱】

家の断熱材は30~40年ほどで機能が低下するといわれているので、築年数が経った物件の場合は断熱材も入れ替えるとよいでしょう。家全体の断熱リフォームは250~400万円程度が費用のボリュームゾーンです。


壁に断熱材を施工 4,000~30,000円/㎡

天井の断熱化 4,000~8,000円/㎡ 

床下の断熱化 4,000~8,000円/㎡

内窓(インナーサッシ)追加 8~30万円/箇所

屋根の断熱塗装 3,000~6,000円/㎡

外壁の断熱塗装 2,300~4,500円/㎡


【耐震リフォーム】

筋交いを施工する耐震リフォーム 5~20万円/箇所

耐震パネルを施工するリフォーム 25~65万円

屋根の軽量化を行う耐震リフォーム 80~150万円


【外装】

外装リフォームには屋根と外壁の施工が含まれ、合わせると130~450万円ほどが費用相場になります。


・屋根リフォーム

塗り替え 既存の屋根に塗装を行い、塗膜で屋根材を保護する 15〜80万円

カバー工法(重ね葺き)  既存の屋根を残したまま新しい屋根を重ねて設置する。解体や廃材処理が不要 60〜250万円

葺き替え 既存の屋根を撤去してから新しい屋根を設置する 70〜260万円


・外壁リフォーム

塗り替え 既存の壁に塗装を行う 60〜180万円

カバー工法(重ね葺き)  既存の外壁材を残したまま新しい外壁材を張る 130〜220万円

葺き替え 既存の外壁材を撤去してから新しい外壁材に張り替える 150~300万円


もちろん、これらは一般的な費用のボリュームゾーンなので、施工する場所のサイズ、使用する素材などによって、実際のリフォーム費用は大きく前後します。


◆予算別 リフォームのコツ


リフォームは既存の住宅に意外な劣化・破損などが見つかるケースがあるため、状況に応じて柔軟にプランを組み立てる必要があります。


【300万円】 ごく一部のリフォーム

一戸建ての中古住宅や中古マンションのリフォームをお考えで、予算が300万円くらいの場合、フルリフォームを行うことは難しいです。しかし、水回りやキッチン、リビング、外構など、気になる部分をピックアップして比較的大がかりなリフォームをすることは可能です。経年劣化が見られる部分を中心に、お金をかける部分と抑える部分にメリハリをつけて、予算に応じたリフォームを行いましょう。


【500万円】 一部分+αのリフォーム

一戸建てを500万円でリフォームするとなると、フルリフォームは現実的でないので、部分的なリフォームを選ぶことになります。500万円以内に抑えるには、リフォームする場所や内容に優先順位を付けるのがコツです。気になる箇所すべてをフルリフォームするのは不可能ということを念頭に置いて、「新しくリビングを追加する」「トイレに手洗いを設ける」「外壁を一新させる」などと、具体的なリフォーム内容を具体的に挙げていく必要があります。その後、優先順位の高いものを選んで行えば、満足度の高いリフォームが実現します。

設備や建材はグレードが低いからといって、大幅にスペックが落ちるわけではないので、

リフォームに使う設備や建材のグレードを下げるのも重要なコツです。

(例)

★間取りを変更/新しくリビングを追加するような工事 100万~300万円程度

★洋室から和室、和室から洋室へ変更するような工事 100万円程度

★水回り限定のフルリフォーム


ただし、大規模な間取り変更だと500万円では収まらない可能性が高いです。また、建物の工法や構造との相性によっては、希望の間取りに変更できないこともあるので、詳しくは事前に業者へ相談してみましょう。


【1000万円】 内装リフォーム

1,000万円という予算は、一戸建ての内装をフルリフォームするには十分な額だといえます。しかし、外装と合わせて施工したり、築年数が古くて耐震性や断熱性の確保が必要だったりすると、1,000万円では足りなくなる可能性もあります。リフォームしたい部位の優先順位を決め、設備や建材のグレードを上下させることで、全体の費用を調整することをおすすめします。

屋根と外壁、トイレとキッチンなど、中にはまとめて施工した方が、長期的に見て安上がりになるリフォームもあります。

(例)

★水回り一式リフォーム: キッチン、浴室、トイレをすべて新しく交換可能。高級感のある素材や機能性の高い設備を取り入れることもできる。

★間取り変更: 壁を撤去したり、新たに壁を作ったりすることで、間取りを大きく変更できる。部屋数を増やしたり、広々としたリビングを作ったりすることも可能。

★外壁・屋根の葺き替え: 住宅の外観を大きく変え、耐久性を高めることができる。

★内装リフォーム: 床材、壁材、天井材を交換し、部屋の雰囲気を一新。

★断熱・省エネリフォーム: 断熱材を充填、高性能な窓に交換。住宅の性能を向上させ、光熱費を削減。


つまり…

o 水回り、内装、間取りの変更など、広範囲なリフォームが可能

o 高品質な素材や設備を取り入れることができる

o 住宅の性能を向上させることができる

しかし…

o 大規模な増築や構造的な改修は難しい場合がある

o 最新の設備をすべて取り入れるのは難しい場合がある。   と言えます。


【1500万円】 フルリフォームが可能

どのくらいの規模のリフォームをするのかによって費用は異なりますが、築50年の住宅をリフォームする場合は約1,000〜1,500万円が相場となっているため、1500万円でフルリフォームが可能と言えます。

フルリフォームを行う箇所や規模によって費用が変わってくるのですが、1,000万円の予算だと少し厳しいといえます。なぜなら、築年数が古いと、屋根や外壁などの外装に劣化が多く生じている可能性が高く、そこまで含めたリフォーム工事になるためです。

また、1981年より以前に建てられた一戸建ての場合は、耐震性にも注意が必要です。この年は新耐震基準に切り替わった年なので、これ以前に建築された建物は、十分な耐震性を備えていない恐れがあります。

築40年以上の一戸建てをフルリフォームする際は、内装と外装を含めて行うため、一般的な一戸建て住宅の場合、1,500万円程度かかると考えておくとよいでしょう。


◆社寺建築岡田工務店㈱での実際の施工事例

BEFORE


    

AFTER


リフォーム箇所:・和室4部屋(24畳)を洋間1部屋に変更

        ・キッチン入れ替え

        ・和室8畳を洋間に変更

        ・トイレ入れ替え

        ・断熱施工

        ・外壁塗装


リフォーム費用:約1000万円


◆社寺建築岡田工務店㈱では…


中古物件をリフォームする場合、リビングだけやトイレだけといった部分的なリフォームよりも、床、壁、天井を一新したり、間取りの変更や配管等の変更、水廻りや収納関連の変更、断熱性能・耐震性能等の改善工事を伴うなど施工箇所が多くなるため、ある程度費用が高くなる傾向にあります。

お客様の予算やニーズに合ったリフォームを数多く手がけていますので、リフォームについて何かお困りごとがあれば、お気軽にご相談ください。

また、築50年など築古の住宅では、住宅の安全性確保・住環境改善を優先するべき状況の場合が多いです。

「古い住宅の現状を正しく把握してから、予算内でどこまでリフォームできるか知りたい」とご希望の方は、ぜひお問い合わせください。