近年、旅館業法の基準の緩和に伴い、「民泊やゲストハウス」の普及が加速しています。この急速な普及の背景には、外国人観光客の利用が大きく関係しています。実際、民泊の利用者の約7割が外国人観光客であり、彼らが民泊を選ぶ理由は様々で、長期滞在がしやすい点や宿泊費の削減、また日本ならではの家屋で日本らしさを感じられるという魅力が挙げられます。
一方で、近年では日本の若者からも民泊が人気を博しています。民泊が注目される理由のひとつは、費用面の魅力です。また民泊はユニークな宿泊施設が多く、個性的な滞在体験ができるという点も魅力的です。日常の喧騒(けんそう)を離れ、非日常的な体験を求めて民泊を選ぶこともしばしばです。
民泊と聞いて多くの方が想像されるのは古民家の民泊ではないでしょうか?
古民家の空き家化の進む昨今、民泊として日本の文化を感じさせる施設という生まれ変わりを見せる民泊での古民家は国内外問わず注目を集めています。空いている物件や空室を利用して民泊をはじめたくても、何からするべきか、どんな内装にするべきか悩んでしまう方も多いですよね。
今回はそんな古民家を活用した民泊のリノベーションのポイントをお伝えします。
◆ターゲットの決定
都会か田舎にあるのかによる立地条件によって、ターゲット層が変わります。
例えば日本を感じさせる観光名所の近くに民泊がある場合は外国人観光客の方が多いことが見込めるでしょう。対してスキー場や海外の方にはあまり知られていない観光地では日本人旅行客が多いことが予想されます。
若いカップルなどがターゲットであれば、SNSで流行るような内装にすることで集客率向上を図ることができ、家族連れをターゲットにする場合は、広めの個室も用意しておくことで需要を満たすことができます。
また、どのターゲット層でも共通するのは、清潔さと安全性、快適に過ごせる空間です。
古民家で民泊を行う場合はどんな層がターゲットとなるのかというと、
古民家を活用した民泊は、特に歴史や文化に興味を持つ観光客、おもに外国人観光客の方が多い傾向にあります。日本人観光客の方であっても、都市の喧騒から離れて静かな時間を過ごしたいと考え、古民家の提供する落ち着いた環境を求める方もいらっしゃいます。
基本的には幅広いターゲット層から支持を得られる古民家での民泊です。
◆コンセプトの決定
オーナーがどのような宿泊施設をつくりたいのか、コンセプトを明確にします。
コンセプトに沿ったオシャレな内装にすることによって、開業する宿泊施設の魅力をより高めることができます。
民泊といえば昔ながらの趣がある古民家風のを思い浮かべる方は少なくないでしょう。
しかし、周辺に似たような民泊が多数存在すると、利用者の目に止まらず埋もれてしまう恐れがあります。他の施設と差別化を図りたい際には、内装のコンセプトで違いを設けるという方法が有効です。コンセプトをベースに、物件や内装、インテリア、設備、ホームページなどの方向性が決まるため、できるだけ具体的に考えるようにします。
また初めからコンセプトを決めておくことで、内装工事や物件選びなどの準備を効率良く進められます。
◆どんな物件/立地を選ぶか
【立地】
まず挙げられる理想的な立地は、アクセスの良い場所です。観光地や人気の観光ルートに近いことで宿泊客の行動がスムーズになります。例えば、京都や奈良のような歴史的な都市では、古民家を活用した民泊は特に人気があります。これらの地域では、古い町並みとの調和が魅力です。
次に、「なにもない」があることも古民家の民泊には有効です。周辺環境も重要な要素です。自然やその土地の独自の景観に囲まれ、静かで落ち着いた環境は、都市の喧騒から離れたいと古民家での民泊を選んだ宿泊客に適しているでしょう。いつもとは少し違った趣で、どこか懐かしい日本の古き良き「日常」を感じられます。風土に合わせて造られた古民家はそれぞれの土地の歴史を感じることが出来ます。
【物件】
古民家を民泊として使う際に、最も注意が必要となってくるのが老朽化のチェックです。
古民家とは約築50年以上の木造建築の物件を指します。
そのため、古民家として利用をする際には建物の基礎となる構造部分のチェックが必須です。柱や梁、床下などの木材の腐食やシロアリの被害がないかを調べることが含まれます。特に古民家は木材を多用しているためあらかじめの点検は必須となってくるため注意が必要です。
次に、屋根や外壁の状態の確認も必要です。古民家の屋根材には瓦や萱が使われていることが多く、屋根の傷みは雨漏りの原因となります。外壁についても、ひび割れや剥がれがないかチェックし、必要に応じて補修を行うことが大切です。
このことから、大規模なリノベーションを考えている場合は、リフォーム会社や建築士など専門家に相談しながら探すようにするのがおすすめです。
また車利用者が多い場所では駐車場も必須です。宿泊客が快適に滞在できるよう、宿泊者目線で物件を探しましょう。
◆内装/デザインについて
開業したい宿泊施設のイメージとターゲット層を合わせて、内装とインテリアのバランスを考えます。古民家らしさを残すために、柱や梁のような主要となる部分のみは残して、他は現代風に使いやすいようなリノベーションが主流です。
壁・床・家具・カーテンの色や素材は、バラバラにならないように統一感を出したり、照明も雰囲気づくりにとっては大事な要素です。また、立地場所が山に囲まれているなら海のイメージは合わないように、エリアの環境や特色との調和が取れたインテリアを考慮しましょう。
また、内装を綺麗に保つためには、壁や床などの素材は耐久性を兼ね備えた素材を選択することもおすすめです。耐久性が高い素材であれば、定期的な補修工事の数を減らせるので、ランニングコストを抑えることが可能です。
【内装】
・水回り
宿泊施設で最も重視すべきと言っても過言ではないのが水回り。雑菌の繁殖がしやすいといった理由から、衛生的に保つことが必要となってくることも相まって、リノベーションするにあたり、新しく・綺麗なものにしておくことをおすすめします。また、旅館業法によって民泊を開業するために必要な設置数などが定められている場合もあるためあらかじめ調べておくようにしましょう。
・寝室
旅の疲れをしっかり癒せるようなこだわりの寝室を作るのもポイントです。
プライベートな空間としての役割を果たす寝室は可能であれば複数個部屋を設けるのが理想です。
「空間の使い分け」ができるのも民泊の醍醐味です。
・外装
最も目につきやすいのは外装です。お客様に安心できる民泊と認識してもらうため、外壁の塗装や修復で、古びた外観をキレイにすることも重要です。また、窓やドアの交換を検討し、現代的で安全性の高いものに更新します。強い痛みのある場合には屋根の補修や修理を行い、耐久性を確保します。古民家などの場合は、古民家の良さを消さないような外装リフォームを心がけましょう。
外装のリフォームでは見た目だけではなく、安全性と耐久性の確保も不可欠です。防水性の確
保や耐久性の高い塗料の使用、照明の設置などがこれに該当します。
・照明
民泊のテーマやインテリアに合ったデザインの照明を選ぶことが重要です。部屋ごとに用途や雰囲気が異なるため、各部屋に適した明るさや色温度の照明を選ぶことも大切です。
また、省エネルギーで長寿命のLED照明を選ぶことで、コスト削減や環境への配慮が可能です。明るさの調整ができる照明や、間接照明を活用することで、民泊での過ごし方をさらに快適なものとすることを可能とします。
さらに、センサー等を備えた照明を使うことで、利便性や安全性を向上させることもできます。これらのポイントを考慮しながら、民泊の照明を選ぶと、快適で魅力的な空間を演出することができます。
◆法令/補助金
【法令】
民泊を運営するためには、様々な許可や申請が必要です。
まず、民泊施設として古民家を使用する前に、地方自治体の条例や規制を確認します。民泊に関する法律、特に住宅宿泊事業法に基づき、運営を始める前に必要な届出があります。年間で180日以内の開業しか認められていないという制限はあるものの、一般的な宿泊施設を運営するための法律や規制よりは決まりが緩く、条件を満たしやすいというメリットがあります。どうしても180日以上の営業がしたい、という場合には自治体によって、外国人観光客の受け入れを促進している民泊に認められる「特区民泊」という特例が設けられている場合もあります。
次に、古民家の建物が建築基準法に適合しているかどうかの確認。多くの古民家は古い建築様式で建てられているため、現代の建築基準に合致していない場合があり、改修が必要になることもあります。
また、木造の古民家では特に消防法に基づく安全性の確保が必要です。これには、避難経路の確保や消火器の設置など、具体的な安全対策が求められます。
景観関係で乱さないようにするためにも都市計画課の確認が必要になってくる場合や、法人での営業の場合には登記事項証明書の提出が必要となってくる場合も注意が必要です。
役所とのやり取りが多い申請関係の手続きですが、各地域ごとに違う部分もあるため確認は怠らないようにしましょう。
【補助金】
国や地方自治体では、観光振興や地域活性化を目的として、民泊事業に対する様々な補助金制度を設けています。
空き家を民泊に改築する場合にも補助金が出ることもあります。
空き家は現在、日本の社会問題となっており、各自治体が民間業者と連携しながら空き家の除却や再生に対する補助金を設置しているケースが少なくありません。
支給される補助金の額や条件は自治体によって異なりますが、宿泊施設事業を始める前に、自治体のホームページや窓口で確認してみることをおすすめします。
◆民泊を運営するメリット
【空き家などが有効活用できる】
民泊を運営するときに重要なポイントとされているのが、空き家などが有効活用できる点です。空き家は所有しているだけでは固定資産税などの税金が発生し続ける上に、放置しているとどんどん傷んで倒壊する危険性があります。そんな空き家を有効活用することによって空き家問題の改善に貢献できる上に、新たな収益が得られる方法として多くの恩恵があると言えるでしょう。
【収益が得られる】
空き家を有効活用して民泊にする場合は、今までさまざまな費用ばかりが発生するものだった建物が収益物件に変えられるため、民泊運営によって利益が出るのがポイントです。集客が期待できる地域で民泊を運営する場合、滞在期間が長くなりやすいので収益が安定しやすくなります。
【自分の都合に合わせられる】
民泊運営を行うときの重要なポイントの一つとして挙げられるのが、価格設定や利用可能日などを自分の都合に合わせて決められることです。民泊は自分でお客が宿泊できるようにする形式なので、その他の設定も自分で決めなければなりません。たとえば周辺地域の宿泊施設の価格に合わせた相場にしたり、忙しい時期は予約を受け付けないようにしたり、逆に繁忙期のみ予約を受け付けるようにしたりと、さまざまな工夫ができます。
【少額投資で始められる】
民泊運営は少額投資で始められるのもポイントです。 民泊は自分が住んでいる物件や所有している物件などを有効活用して宿泊できる形式にすることで運営できるため、少額の投資で始められます。 宿泊する際に利用できる必要最低限の家具や家電、調理器具、生活用品などを揃える必要性がありますが、状況によっては100万円以内の少額で済むこともあります。
【出口戦略ができる】
民泊運営において嬉しいことが、出口戦略ができることです。出口戦略とは収益が得られなくなったときを見越した売却計画であり、民泊の場合は運営が上手くいかなかったり資金が必要になったりしたときに売却できます。民泊運営が上手くいっている場合でも事業そのものを売却できることがあるので、さまざまな計画が立てられるのがポイントです。
◆民泊を運営するときのデメリット
【物件の汚損や破損】
宿泊客はどんな人でも絶対に汚損や破損を起こさないというわけではなく、場合によっては不注意でも故意でも壁が傷つけられていたり、設備が破損していたり、チェックアウト後の確認で部屋が荒らされていたりゴミが散乱していたり、水が出しっぱなしだったりと散々な状況になることもあります。宿泊客の厳選をするのも難しいため、民泊を運営するときは後始末や破損の対応をする可能性が高いことを前提にしましょう。
【近所から苦情が入る可能性がある】
民泊運営において、宿泊客のマナー違反や騒音などによって近所から苦情が入る可能性があります。多くの宿泊客はきちんとマナーを守って利用していますが、中には夜中に大声で騒いだり、ゴミを一切片付けなかったりと、近所トラブルにつながるケースが多いです。少なからずご近所トラブルに発展する可能性があるので、対応策を考案する必要性があるでしょう。
【管理の手間がかかる 】
部屋の掃除や設備点検、リネンの交換、鍵の受け渡し、24時間体制の問い合わせ対応など、しっかり対応に当たらなければなりません。トラブルが起きた場合はすぐに民泊まで駆け付けなければならず、本業でもない限り管理するのは大変です。民泊を運営する際にどんなことを行うのか、事前に把握して対応できるようにしましょう。
★民泊事業のメリット・デメリットがあるなか、実際に民泊経営されているオーナーさんの声として一番よく耳にするのが、『外国人観光客の宿泊施設として世界中の観光客と交流することができる楽しさがある』ということです。
年々、海外から訪れる観光客の数が増えていますが、観光客が増えたことで宿泊施設の不足が問題視されています。今のままでは多くの人が訪れても対応することができない地域がたくさんあるので、宿泊施設を確保する目的で民泊が注目されています。民泊を始める人が増えれば、その分だけ宿泊需要に応えることができます。
また、観光客が民泊を利用する一番の目的は宿泊コストを抑制することにありますが、民泊のオーナーとの交流に興味のある宿泊客もいます。オーナーとして収入を得ながら、世界中の人と交流して人脈を広げることができるのです。
社寺建築岡田工務店㈱ではイタリアへの製品輸出も行っており、海外の方にも喜んでいただける日本らしいデザインに特化しております。また丸窓などを取り入れ、日本の自然を感じられる景観を確保できる内装が当社の強みですので、外国人観光客・国内の旅行客どちらにも適した、幅広い層に満足していただけるお部屋造りが可能です。
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