古民家を飲食店にリノベーションする際のポイントや注意点

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古民家をリノベーションして飲食店を開業しよう!


昔懐かしい和の趣を感じられる古民家を活用したカフェやレストランなどの飲食店が、近年注目されています。


古民家カフェは単なる飲食店以上の意味を持ち、地域の歴史や文化を体験できる場所として、また建築的価値のある古民家の保存に貢献する存在として注目されています。都市部から離れた郊外や田舎に多く見られ、現代の忙しい生活の中で、ゆっくりと時間を過ごし、日本の伝統を味わえる人気のスポットとなっています。


昔ながらの落ち着いた和の雰囲気を醸し、時代を感じさせる内装や道具も特徴のひとつです。地元の食材を使用した料理やスイーツ、抹茶などの伝統的な飲み物が提供されることが多く、日本の食文化も体験できます。

趣のある古民家という器を活かすことで、非日常的な空間としやすく、他店との差別化を図りやすいです。


そんな近年人気の古民家を利用した飲食店を開業しようと考えているオーナーの方は多いのではないでしょうか。

建物をリノベーションし店舗にする事で、建物の新しい魅力を生み出し、魅力的な店舗をつくることができます。今回は古民家を店舗として活用する良さやデザインのポイントについてご紹介していきます。


◆古民家を飲食店にするメリット


【古民家の魅力を活かした空間を提供できる】


古民家カフェでは、古民家が持つ建築美やレトロな空間の中で、コーヒーやフードを楽しむことがコンセプトになります。まるで昭和以前の時代へタイムスリップしたような、非日常の空間が演出できる古民家は、リラックスや癒し、レトロモダンなどのコンセプトと相性が良く、隠れ家のようなプライベート感もあるため、人気となっています。

古民家には古く時間が経過したことで出る木の味わいや独特な和の趣、高い天井や広い間取りから現代の建築物からは得られない癒しや落ち着き、非日常を訪れるお客様に与えることができます。

また、木や土、茅葺など自然の素材で造られた建物なので体や環境にも優しく、一般的な化学物質の使用された建物よりもアレルギーやアトピー、喘息などを持っている人でも過ごしやすい空間を提供することが可能です。

長い年月を経て築かれた歴史と文化を感じさせる空間は、独特の風合いや木材の質感で他にない特別な雰囲気を醸し出します。「経年劣化」ではなく、「経年変化」という考え方が当てはまるので、古くなるごとにさらに魅力が増すでしょう。

こうした特徴を活かしながらカフェやレストラン、雑貨店などの店舗にリノベーションすることで、他とは違った魅力的な空間を作り上げることができます。また、地域の文化や歴史を尊重する姿勢が地元住民や観光客から支持され、集客力の向上にもつながります。

これらのことから、〝競合カフェと差別化しやすい〟といえるでしょう。


【物件購入費や税金を抑えられる】


古民家は一般的な住宅や店舗よりも土地代や建物代がかからない場合があります。よってカフェ開業にあたって店舗を新築したり、中古物件を購入したりするより、古民家を購入したほうが費用を抑えられます。

また土地や建物を所有すると、固定資産税が課税されます。建物にかかる固定資産税の算定には築年数が関係しており、築年数が経過している古民家ほど税額が低くなります。

さらに地方自治体によっては、同一者が所有する固定資産課税標準額が一定に満たない場合には免税されます。


◆古民家を飲食店にするデメリット


【リノベーション費用が予想より高くなる可能性がある】


昔ながらの木造物件ということもあり、古民家のリノベーションでは、現代の建物と違い、耐震や断熱性の補強などを、行わなければなりません。一般的な現代建築の建物のリノベーションと比べて、費用が多くかかると考えておきましょう。また、素材自体が古いため、定期的なメンテナンスも必要と考えていた方が良いでしょう。


【断熱性・気密性が低い】


冷暖房の効率が悪く、電気料金が高くついてしまうことも。また、現代の建物と比べて、夏は暑く冬は寒く感じられるでしょう。断熱性・気密性を高める工事をすれば改善できますが、その分、初期費用がかかってしまうので、注意が必要です。


◆古民家カフェ・レストラン(飲食店)開業の成功のコツ


人気の古民家カフェをつくるコツは独自性をもたせることです。古民家カフェの経営を軌道にのせるには、古民家特有の趣や雰囲気を活かし、訪れたお客さんに特別感を抱いてもらうことがコツ。「一般的なカフェにはない趣」と相性のよい店舗設計・サービスを用意しましょう。

くつろげる畳部屋を設営する、夏季に縁側を開放する、地域の食材を使ったメニューを提供する、といったことがおすすめです。あえて洋風の食器や什器を取り入れて和と洋の調和が楽しめる空間を演出するというアプローチもあります。

また、コンセプトは必ず明確に決めておきましょう。古民家カフェは、日常にあるストレスや疲れを癒す空間として需要が高まっており、その背景から多くの開業が見られる業態です。競争率は高く、生き抜いていくためにはコンセプトを必ず明確に決めることが必要不可欠となってきます。


【開業する場所を決める】


お店を開きたい場所を決めておけば物件が探しやすいです。場所を決める際は、物件の安さや立地の良さだけではなく、お客様となりうる周辺住民のステータスや、観光地・人気スポットからの距離、近隣に競合となりうるカフェはないかなど、多角的に分析し、本当にその場所で開業可能か判断しましょう。


【物件探し】


古民家カフェの開業で、もっとも重要な部分の1つです。良い古民家を見つけられるかどうかで、古民家カフェを開業できるかが決まるといってもよいでしょう。

近隣のリサーチをしっかりと行い、不動産業者へ良い物件が出たら連絡をもらうように伝えるなどして、地道に物件選びをしましょう。

物件を探す際はネットで下調べをすることもおすすめですが、ネットに出てこない物件もたくさんあります。空き家になっていて使っていないような物件の場合は、直接近隣の方に声を掛け、情報を得ることも有効な手段になることもあります。


何よりもたくさんの物件へ足を運ぶことが一番大切です。たった数件回っただけで決めるのは様々なリスクがあり危険ですので、必ず何十件も回ってから決めるようにしましょう。その際、可能な限り建築知識のある専門家に同行してもらうことをおすすめします。


【古民家カフェに合う備品や家具を選ぶ】


カフェ内に設置するテーブルや椅子、棚などを選びます。古民家のテイストに合うようなレトロな雰囲気のものがおすすめです。

リサイクル品を活用したり、廃材などを利用してDIYしたりしてみるのもよいでしょう。少々のペンキの塗りムラや木目のダメージなども、かえってよい味わいになる場合もあります。家具や備品をレトロにしたら、カーテンやカバーなどのファブリック製品は新品にするなど、一定の清潔感は保てるようにバランスよくインテリアを選びましょう。


【開業前から集客活動は積極的に】


郊外や駅から遠い立地にある古民家でカフェを開業する場合、集客の手段をしっかりと確保することも重要です。

山間や人里離れた場所にある場合は、ポスターやのぼりといった販促ツールも駆使して、場所をわかりやすくします。

無料で利用できるSNSも有効に活用し、オープン前のDIYの様子などから投稿を始めるのもよいです。現代ではSNSを活用した集客や販促が主流です。例えばインスタグラムではカフェに関する投稿が多く、「映え」を意識している若者に向けて有効な宣伝方法となりえます。その点、古民家カフェは「映え」を求めるお客様に向けてぴったりの業態です。


◆古民家カフェ・レストラン(飲食店)開業の注意点


古民家カフェを営むにあたっての注意点は、古民家の空き家物件がある地域はある程度限定的で、都心や開発の進んだ繁華街には少ないところが挙げられます。開発の進んでいない郊外や駅から距離のある場所に残っている場合が多いため、立地条件は期待しない方がよいでしょう。

また、古民家の状態によっては、改修費用が想定よりも多くかかるケースもあります。古い木造家屋の場合、柱の傷みやシロアリなどの虫害にも注意が必要です。

高齢者の多い集落などでカフェを営む場合には、近隣の人々と円滑なコミュニケーションが取れるような配慮も大切となります。


【断熱性および気密性を確保する】


古民家は、現代の住宅と比較して断熱性や気密性が低いため、冷暖房効率が悪く、夏は暑く冬は寒いといった問題が生じやすいです。そのため、店舗として快適な空間を提供するためには、これらの性能を向上させる工事が不可欠です。断熱材を追加したり、窓やドアの交換を行うことで、室内の温度を一定に保つことができ、光熱費の削減にもつながります。

古民家を飲食店として活用する場合、保健所から営業許可を取得する際に一定の施設基準を満たす必要があります。気密性が低いと、ネズミや虫などの防除設備が不十分と判断され、施設検査に合格できない可能性があります。

古民家のリノベーションにおいては、「断熱材の適切な選択と施工」「気密性を高めるための隙間対策」「現代の建築基準や保健衛生基準への適合」などの要素を考慮しましょう。


【耐震補強工事を行う際はプロと相談しながら進める】


古民家のリノベーションにおいて、耐震補強は重要な検討事項です。特に昭和初期以前の伝統工法で建てられた古民家の場合、建築士や古民家鑑定士との相談が不可欠です。伝統工法は柱と梁を仕口で接合した木造軸組構造で、地震時にはしなりでエネルギーを吸収する免震的特性を持ちますが、現行の建築基準法は壁量で耐震性を判断するため、開放的で壁の少ない伝統的な古民家は基準を満たさないことがあります。一般の工務店に耐震補強を依頼すると、壁を増やすことで古民家本来の開放的な空間が失われる可能性があります。


そのため、古民家の魅力を保ちつつ耐震性を高めるには、まず建築士や古民家鑑定士に物件の診断を依頼し、必要に応じて古民家再生を得意とする工務店に工事を依頼することをおすすめします。


【設備が整っているかを確認する】

電気やガス、水道などは、お店を運営する上で欠かせない設備。設備が整っているのか、どのくらいの容量なのかを古民家を選ぶ際に必ず確認しましょう。後付けとなると工事期間が長くなり、費用がかさむ要因になります。できるだけ生活インフラが整っている古民家を選ぶとよいでしょう。


◆内装デザインのポイント


古民家を再生し店舗とするなら、やはり古民家の良さを活かしたデザインにすことがおすすめです。古民家の特徴を生かしてカフェの内装をデザインしましょう。


【店のコンセプト】


店舗のデザインを設計する上で、店のコンセプトを明確にすることが大切です。

来て欲しいターゲットや提供するサービスの内容等を出来るだけ具体的に決めることで、店舗のデザインをどうするのか考えやすくなります。


【古民家の経年劣化を活かす】


古民家ならではの経年劣化を楽しむ店舗づくりがおすすめです。

リノベーションでは耐震や断熱などの機能を補強したり、水回りの設備を最新のものに交換する等、大掛かりな工事が必要となることが多いですが、古民家の古い風合いのある建材はできるだけそのまま使用することで古民家の美しさや良さを活かすことが出来ますし、リノベーションの費用を抑えることにもつながります。


【和モダンな内装】


古民家は日本の伝統的な建築様式の建物ですから「和風」な内装がイメージされますが、和にこだわる必要はありません。

むしろ最近はあえて新しいもの、洋風なものをミックスさせ和洋折衷、モダンでおしゃれな雰囲気を作ることが人気です。

お店のコンセプトにもよりますが、古民家の木材は意外と洋風な家具や小物、無機質なものにも合うため、他の店舗と差別化を図るためにもぜひお試しください。


【光を取り入れる】


古民家は築年数が古く木も深い色に変化しているため、暗い印象を持つ方もいます。

大きな窓や吹き抜け等で開放的な空間を作り、自然光をたくさん取り入れるよう設計しましょう。

また、古民家に温かみのある照明を使うと非常に雰囲気の良い空間を作り出すことが出来ます。間接照明を多く使うことはおすすめです。


【暖色系の照明を設置する】


加えて暖色系の照明を設置する点もポイントです。古民家カフェに暖色系の照明を設置すると、内装に使われている天然木とともにレトロな雰囲気を演出できます。照明の明るさや色合いによって、空間内の雰囲気が変わります。

照明にはさまざまな種類がありますが、古民家カフェには天井から吊るすペンダントライトなどが適しています。ペンダントライトで床や壁を部分的に照らすことで、影の明暗を出しやすいです。心地良さを感じる空間を演出する照明をデザインしましょう。


【畳の活用】


多くの古民家には畳の部屋がありますが、あえて畳で座敷の席を作ってみるのはいかがでしょうか。

通常はあまり畳や座敷の席が使われていない分野のサービスであれば、それを独自の売りとしてアピールすることも可能になり、お客様に注目されるポイントにもなるでしょう。


【ユニバーサルデザインを取り入れる】


ユニバーサルデザインとは、あらゆる年齢や性別、文化、身体の人々に対応できるデザインです。

古民家カフェ内に段差がある場合には、高齢層の顧客が入店しづらくなります。玄関や土間にスロープや手すりを付けて、なるべく多くの顧客が不便さを感じないデザインを検討してください。

他にも和式トイレや低い天井がデザインされていると、顧客によって不便さや圧迫感を感じる場合があります。古民家内装の魅力を残しつつ、必要に応じて改修しましょう。


【天井の棟木や垂木を見せる】


天井の棟木(むなぎ)や垂木を見せるデザインを取り入れると、古民家カフェのレトロ感を演出できます。天井にクロスを貼らずに天然木を見せることで、温もりや自然感を表現できます。

迫力ある棟木や垂木が天井に広がる点は、現代の住宅構造との違いです。垂木の太さや取り付ける間隔を変えるだけで、デザインに変化が生まれます。また施工されている垂木を活かしつつ、現代的な照明器具などを加えることも可能です。


【床/建具に天然木風の素材を使用する】


床や建具に天然木風の素材を使用することもおすすめです。床は内装の大部分を占めるため、

内装全体の印象を大きく左右するからです。

フローリングシートなどを濃い色合いにすることでも、古民家の特徴的な雰囲気を再現できます。

また床の色合いと統一させるように、襖(ふすま)や障子などの建具をデザインしてください。襖や障子が破れていたり劣化したりしていたら、貼替えをして清潔感を保ちましょう。


◆地方自治体によっては古民家再生の助成金や補助金制度がある


古民家を飲食店にリノベーションして開業するには相応の費用がかかるため、開業を検討している地域の地方自治体で、古民家再生の助成金や補助金など利用可能な制度がないか確認してみましょう。コンディションが良好であるにも関わらず放置されている古民家を有効活用するために、古民家再生を助成・補助する制度を用意している地方自治体も珍しくありませんので、一度問い合わせてみることをおすすめします。


◆社寺建築岡田工務店㈱では…


日本の古き良き文化や風情を現代風にアレンジした古民家カフェは、大きな人気と注目を集めています。しかし、開業には、資格の取得・開業場所の選定・物件探し・内装整備など、多くの準備や段階を踏まなければなりません。特に物件取得や内装工事は、一人で開業準備を進めることはなかなか難しいでしょう。

古民家をリノベーションする際には専門家からのアドバイスが欠かせません。なぜなら建物の現状や法的な問題があり、適切に把握するためには、経験豊富な建築士や業者の知見が必要になるからです。また、古民家リノベーションの場合、建物の設計図や増改築の履歴、リフォームの記録が残っていないことが多く、想定外のことが起こりやすいです。しかし、プロのサポートを受けることでスムーズに進めることができるでしょう。

様々な法的および技術的な課題に対処する必要がある場合は、経験豊富な私たちにぜひご相談くださいませ。

また、「最適な物件が見つからない」、「物件は見つかったけど内装をどうすればいいかわからない」などのお悩みがある方も、ぜひお気軽にお問合せください。



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